婿礼賛

不況感に満ちた世間にあって
聞くところ 毎晩毎晩残業で
帰宅は9時を回るという。そんなシンムスが
モトムスとふたりで
昨晩 泊りがけでやってきた。

迎える我々も 息子が帰ってくるような親しさで
気をつかわない。

テーブルに並べられた
手作りや出来合いの惣菜を 気ままに食べながら
TVの映画『ナルニア国物語』に興奮していた。

シンムスは 我々が寝た後も
ビデオをみて夜更かしをしていたらしい。

日曜日でも工場へ行きたい我々は
8時半頃 バタバタと家を出たのだが
彼は マイペースで寝ている。

彼のふとんの上には 
ちわわのキティが 当たり前な顔をして乗っかっていた。

工場へ向かう車中で 夫が
「おまえは笑うかもしれないけど
うちの婿が一番いいなぁ」と言う。

「何 言ってんですかぁ
あたしなんて ずっと前から一番だと思ってますよ」

「あぁして 自分ちのように遅寝している姿なんて
あたしたちに似てますもん」

「おんなじ部族ですよぉ」

そう 私が言うと彼は嬉しそうに
「そっかー おんなじ部族かー」

車の中でふたりして
婿殿礼賛をしていた。
by f-sekkou | 2009-04-05 10:43 | 日常


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