杜子春

31日というものは 

朝から母が料理をし
父と私は とにかく大掃除で明け暮れ 祖母はというと
テレビで浪曲を 延々見ていたような印象がある。

そういう記憶の中に姉はおらず
何故かといえば たいてい お出かけをしていて
共同作業には交わらないという体(てい)なのだった。

迎えた1月1日は 坊主の年頭といって
来客を忌み嫌うので 終日家族だけで日を暮らす。

天気のよい朝 
冬の広々とした畑にたたずみ 祖母が年の初めのお日様に
合掌していたのを 隣でまねをした。

仰々しい儀式もなく 雑煮にする餅を誰がいくつ食べるかと
いつもの朝のように 母だけが気ぜわしく立ち動いている。

頂戴するだけの気楽な娘の私は
こたつで横になりながら 好きなだけテレビを見ていた。

格段の喜びを感じないままに
幸せをやり過ごしていた、そうだね。
今のわたしならわかるくらい 
飽きるくらい 幸せだった。

ぼんやりとした覚醒の中で
桃の木に囲まれた山里に住むことを 至上だとおもう、
あのお話のように 昔を思う。
by f-sekkou | 2007-12-21 23:09 | 日常


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