居酒屋

『じゅうじゅう』で チャーハンを食べて帰るはずが
休業の札が表にかかっていたので
しばし 途方にくれた。 夫と甥っ子と
3人で では、どーしましょう?

すかさず夫が提案をする。
「あそこへ 行ってみよー」

車を 銀行の駐車場に無断で止めて
とぼとぼと歩き出す。路地裏にあたるのか
目立つ場所にある店ではない。

『蔦』 はしご酒が似合いそうな居酒屋だ。

先客は二人連れで 顔見知りの方々だった。
我々3人が カウンターの奥に陣取り 
たくさん書かれた御品書きを仰いでいる間に また客がひとりおいでる。

ひとりの客は なじみ客であるらしく この日は
退職後に勤めに入った 第二の人生の幕開けの日であったらしい。
ぶつぶつと 誰に言うでもなく
初日の仕事ぶりを くどいている。

しばらくして 携帯電話を取り出し
飲み会に出てるから遅くなると 家人に報告をしている。
ひとりで飲んでいても 飲み会は飲み会だ・・
こちらは別に問うてもいないが こぼすように言い訳を言っている。

軽いうさを肴に 居酒屋でひとり ほろ酔いの
その方の傍らで じゃまにならぬように 
気に障らぬよう あいづちを打ちながら

「居酒屋も悪くないなぁ」
酒飲みの隣で つまみに満腹になりながら
昨夜 下戸はそう思ったのである。
by f-sekkou | 2008-04-02 18:50 | 日常


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