匂い

夕方も6時を過ぎると すっかり暗くなり
昼間の暑さとは うらはらに
確実に秋へと移ろいでいます

その暗がりのなかで
工場の前のSご夫婦が 田んぼの四隅を
鎌で刈っていたので
あぁ 明日は稲刈りなのだと知りました

今日は従業員さんも ひとり
稲刈りで お休みです

コンバインで稲を刈り取ったあとからは
独特の匂いが 網戸越しに
事務所にいるアタシのところまで届きますが

匂いというのは 不思議なもので
脳のどこかを刺激するのか
切り取ったように 思い出のシーンが浮かんできます

むかしは 機械ではなく鎌による
人力で稲を刈っていくので
刈り取った稲を束にして 洗濯物のように
天日干しにしたものです

千葉の地元では それを
おだがけ と呼びました

おだがけから稲束を外すとき
おじいちゃんが外した稲を
手許(てもと)人夫の子どものアタシが受け取り
一輪車におろすのですが 

すっかり乾燥した稲束は
首や手に触れると
汗も混じって とても痛がゆいのです

稲の 濃い匂いも
ぷんと鼻をつき
暑かったな くさかったな 
熟した稲の穂のような色で

いまも思い出のスクリーンに
印画されているのです
by f-sekkou | 2011-09-15 11:03 | 日常


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